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ロッキー6

 どうやらスタローンは本気で「ロッキー6」を作るつもりらしい。5はかなり「?」な感じだったのに、「6」を作ると言うことで、人気シリーズだけに期待より心配の方が大きいようだ。ストーリー的にはエイドリアンの死後、引退しフィラデルフィアで隠遁生活を送るロッキーが、ヘビー級チャンピオンと戦うため、リングに復帰する話らしい。
 今では「アクションスター」と言う肩書きはなんだか格好悪いものになっている。スタローン、シュワルツェネッガー、ヴァン・ダム、セガール、ラングレン。彼らが全盛期のヒーロー像は力持ちだがやさしい、ムキムキの男だった。この時代には「ランボー」、「ロッキー」、「ターミネーター」、「コマンドー」等の大ヒット映画が生まれた。が、その時代も終わり、次のヒーロー像は「イケメン」になっていく。筋肉はあるけど、決してマッチョではない感じ。トム・クルーズ、ベン・アフレックとかね。で、その時代も終わって、今のアクションヒーローは女性、もしくわ美少女に変わってきている。アンジェリーナ・ジョリー、「アンダーグラウンド」のケイト・ベッキンセール、「ALIAS」のジェニファー・ガーナー、日本でいうと「あずみ」とかがその流れを組んでいる。この現象はとても面白いけど、実は当たり前。映画における流行の流れは社会の流れに敏感で、社会における女性の独立を表しているのだろう。
 で、ここに来てロッキーである。いわば、時代遅れ。スタローンだって、もうすぐ60だ。60のボクサーなんて聞いた事がない。が、期待せずにいられないこのワクワク感は何?そう僕はスタローンが好きなのだ!ランボーだってDVDは全部持っているのだ!
 あまり知られていない事だけど、「ロッキー」は映画の歴史、進むべき道を変えた映画である。映画の歴史はロッキー前・後で分けられるのだ。実は映画の歴史の中で「アメリカン・ニュー・シネマ」というものがあって、どういうモノかというと
「主人公は最期には死ぬ」
「正義は存在しない」
「悪は必ずしも悪とはかぎらない」
「努力は報われない」
「自由なんて存在しない」
(すごく簡単にいうとね)
 これを変えたのが「ロッキー」である。実は、ロッキーはエンディングで死ぬ事になっていた。が、スタローンはこのエンディングを変え、試合には負けるけど人生、そして自分には勝つロッキーを選んだ。これはその時代には革命的なものだった。ロッキーは必死に努力をしたが、試合には負ける。が、今までダメな男だった自分に打ち勝ち、本当のヒーローになる。
 それ以降の映画は「正義は勝つ」「悪は滅びる」の完全懲悪の流れにはいって、今の典型的なハリウッド映画になっていく。だから、この革命的な英断は必ずしも映画界にとってもいいものではなかったのかも知れない。これ以降のアメリカ映画はみんなが良く知っているようなハッピーエンディングなものばかりになっていくから。が、この純粋なまでの想いと力こそが「ロッキー」の魅力であって、「スタローン」という人間の叫びなんだよね。
 「ロッキー6」ではスタローンが監督、脚本、主演である。ますます期待と心配が交錯する。
 

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