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ロッキー其の2

昨日ギャグで
「ロッキーネタでも書こうかなあ」
と書いたけど、よく考えたら一杯あるんだよね。
 先にも書いたように、「ロッキー」は時代的に革命的な映画だった。70年代のアメリカ、そして「ロッキー」の舞台であるフィラデルフィアは経済不況にあえぎ苦しんでいた。町は暴力と犯罪が溢れ、ゴミが止めどなく散らばり、ホームレスが増えるばかりであった。この映画に置けるフィラデルフィアはの天気は常に曇っている。
 スタローンも喘いでいた。30を過ぎて未だ俳優とは呼べない肩書き。それもそうだ。顔は不格好に曲がっていて表情がない。滑舌も悪い。が、モハメド・アリといい勝負をした無名ボクサーの試合をみて、「ロッキー」を書き上げる。
 まずロッキーの境遇が描かれる。町ではみんな互いを憎んでいる。ジムではトレーナーがロッカーを新人に勝手に渡している。仕事はヤクザの下っ端。夜中に出歩いている女の子を家まで送っても、「うるせえよ」と言われる。空をみても分厚い雲が太陽の光を遮っている。そういう町、そいう時代なのだ。
 バーでテレビを見ていると、アポロが写っている。ロッキーとは正反対に、アポロは派手に光り輝いている。そして、自分を対戦相手に選ぶ。そしてロッキーはこの境遇を変えようとトレーニングを開始する。そして勇気をだしてエイドリアンに声をかける。
 それからロッキーは変わる。朝から生卵。夜明け前にランニング。あの有名な階段を上がるシーン。最初は脇が痛み、息が切れる。が、何かが変わっていく。エイドリアンは心を開き、トレーナーのミッキーは指導をしてくれる事に。エイドリアンの兄は「ガウンに俺の肉やの広告を入れてもいいか?」と頼んでくる。快諾するロッキー。ロッキーが走っている所を、町の人が「がんばれよ」とリンゴを投げるシーンがあるが、あれは演出ではない。スタローンは全く持って無名だったので、本当のボクサーだと思われていたのだ。試合のシーンのため、実際にスタローンは毎日走った。そして声をかける人は増えていく。
 走りながらバラバラだった人々の心をつないでいくロッキー、いやスタローン。最初はゼーゼー言っていたのに、今度は軽々と階段を上がるロッキー。両手を高く上げるその時はじめて分厚い雲の間から太陽が顔を出す・・・。そして試合。
 試合ではロッキーはボコボコにされる。が、油断するアポロにいい勝負をして、アポロもついにロッキーを認める。いい勝負。結局ロッキーは負けるが、本当の勝者が誰なのかを観客は知っている。そして有名な「エイドリア〜ン!!!」のシーン。
 冒頭のアポロがTVの中に写る酒場のシーン。派手なパフォーマンスを見て酒場の客のが、
「黒人が調子にのってんなよ」
と言う。それをロッキーは
「アポロは全力をつくしたからそこまで上り詰めたんだ。あんたは自分の人生の中で全力を尽くしたことが一度でもあるか?」
と言い返す。
 「ロッキー」はそのままスタローンの物語である。くすぶっている30過ぎの男が全力を尽くして変わっていく物語。ロッキーは試合には負けるが、人間としては勝者になる。スタローンもそうなっていく。
 時代が変わっても、ロッキーが階段を上がるあのシーンは本当に感動的だ。どんなSFXもCGもかなわない。なぜなら、ロッキーはヒーローでも超人でもなく、僕らと同じ普通の人間だからだ。ただ必死でやってやると心に決めた男だからだ。

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