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偶然その2。

 1983年の6月の新聞の事だから、最近の出来事。
 山火事が発生していた。消防士が森の中を進むと、燃え尽き黒くなった木のてっぺんに見慣れぬものがぶら下がっていた。それは人間だった。人間は木の枝に引っかかり、ぶら下がっていた。おかしな事に、この人間はダイバーの格好をしていた。
 このダイバーはカジノのディーラーとして働いていた。人柄が良くみんなから好かれており、スポーツマンだった。ダイビングは彼の趣味であった。
 そんな彼の仕事中の事。酔った客が自分が配ったカードで負けてしまい、殴りかかってきた。男は離婚をしたばかりで酒に溺れていた。仕事もせず、周りをも省みないダメな人間だった。すぐに警備のものが抑えてくれたが、後味の悪い一日となった。その気分を紛らわすために彼は休日にダイビングにでた。潜っている最中に心筋梗塞になり、水中で死亡した。そしてその翌日、木の上に引っかかっていた。
 
 実は彼は飛行機から落とされたのだった。山火事の消化に飛行機で上空から散水をすることになり、その飛行機が水を汲み上げたのが男がダイビングし死亡した湖だった。そして、その飛行機を操縦していたのはカジノで殴りかかったあの男だった!彼はボランティアの消防士だったのだ。事故とはいえ、吸水の際に潜水中のディーラーを引っかけて殺してしまった事の罪悪感と偶然のあまりの大きさに耐えられずに、操縦士は銃で自殺を計った。(男は飛行機に引っかけられた際にはすでに死亡していた)偶然も命がかかると怖い・・・。

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