携帯なき時代

 待つのが好きな人はそうそういない(と思うけど)。時間の無駄だし、イライラするしで、出来れば避けたい時間の種類である。
 昨日、映画を観ていたんだけど、その内容が
「約束に大幅に遅れる男」

「それを待つ女」
を描いていた。主人公の二人はいつも一緒に過ごしていた男女二人。いつも一緒にいたんだけど、彼女の方が転校するんだけど、文通をしながら二人の関係をつなぎ止めていた。中学生になった二人は何年ぶりかに会う約束をするんだけど、ちょうどその日大雪が降りだし、交通機関が麻痺していく。男の子の方が移動しているんだけど、電車も少なくなっていき、遅れていく。進んでも一駅ごとに停車を繰り返し、その間も時間は過ぎ去っていく。約束の時間もとうに過ぎ、男の子は永遠に続くとも感じられる時間のなかただ待つしかない、のである。この「待つしかない」という苦しさ、彼女に「今向かっているから」と伝えられない苦しさ、この切なさがこの映画のポイントなんだけど、この設定は携帯電話がない頃だったからありえる話なんだよね。
携帯電話って、時間の流れをも変えたと言えるのかあ、と思ったらなんだかすげーなあと思ってしまった。今更だけど笑。得るのと失うのは背中合わせだから、良い事ばかりではないのは承知だけど、社会だけでなく、人のあり方までに影響があるわけだから暴力的なまでの存在だよね。
 その一歩で、携帯電話がない時代を知っている僕の世代は幸福だとも思う。いつか、生まれたときから携帯電話があるのが普通で、携帯のない時代を知らない人だけの時代が来るのを思うとやや不安に思う。何が?って聞かれると困るけど・・。 
 
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