書き出し

 「小説家をさがして」という、ショーン・コネリー主演の映画がある。小説を通して通じ合っていく老作家と少年のイイ話なんだけど、老人が少年に小説の書き方を教える中で、
「書き出しに接続詞を使ってはいけない」
という台詞がある。本当はそんな事はなく、自由に書いていいんのだが、そこで老人が少年を試しているんだよね。
 書き出しといえば、「ライ麦畑でつかまえて」が印象的である。

もしも君が、ほんとにこの話を聞きたいんならだな、まず、僕がどこで生れたかとか、チャチな幼年時代はだんなだったかとか、僕が生れる前に両親は何をやってたかとか、そういったデヴィッド・カッパーフィールド式のくだんないことから聞きたがるかもしれないけどさ、実をいうと僕は、そんなことはしゃべりたくないんだな。

 まず頭に浮かんだのは、デイビッド・カッパーフィールドってあのマジシャンのことか?時代的に違うよね、という疑問と、こんな嫌な奴の話、最後まで読めるか?ということであった。書き出しの数行で、この話の雰囲気と主人公のなんとも言えない「ムカツク感じ」が分かってしまう。長い物語が始まる「書き出し」は重要なのだ。
 今、こんなサイトがあるんだよね。なるほど、新しい選び方が出来て非常に楽しい。ちなみに「デイビッど・カッパーフィルド」はディケンスの小説に出てくる登場人物で、あのマジシャンはここから名前をもらっていたのだ。
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