BECKの映画化

 BECKの漫画を読んでいる人は多いと思う。飛び飛びなんだけど僕も読んでいて、好きな漫画であるだけに映画化がちょっと心配である。
 BECKは5人の若者がバンドを組んで音楽の世界に飛び込み、挫折や成功を繰り返しながら突き進む漫画である。音楽がテーマになっているため、紙面でも曲や歌うシーンを表現している場面が多い。漫画なのに音楽を表現している、というのがこのBECKの面白いところなんだけど、これを映画にするときには実際に音楽を流さないといけないわけで、これってすごくハードルが高いものなんじゃないかと思うのだ。読者はそれぞれ自分の頭の中の音楽を構築してきたわけで、それを満足させるのは至難の業である。
 もう一つは主人公のコユキの声である。コユキはどこにでもいる平凡は若者なんだけど、歌う勇気を振り絞り自分の殻を破ったところ、誰をもひきつける天使のような声の持ち主だったという設定なんだよね。コユキが初めて歌う時の紙面は見開きの2ページを全部使っていて、読んでいるときに本当に音が聞こえる感覚がしたんだよね。この声を作るのはおそらく不可能だろう。漫画の映画化にはある種の難しさがある上、特殊な「音楽漫画」なので余計難しいと言える。それでも映画化をするその勇気はすごいなあと思って応援していんだけど、キャストを見たらちょっとガッカリだった。なぜなら、イケメン揃いなんだよね。
 BECKの登場人物はストーリーの途中で自分自身と対峙し、自分の弱さを克服していく。彼らはあくまでも普通の若者で、決して優れた、カッコいい存在ではないんだよね。逆にその「普通の人が頑張っている!」ってところが最高にカッコいいんだけど、最初から格好よくてはちょっと意味あいが変わってくる。「映画化」は元々難しいものだから、漫画とは別モノと考えて、音楽にも目をつぶるべきだろうけど、この
「かっこ悪い奴、なんでもない普通の奴が頑張るとカッコいい!」
というテーマだけは守って欲しいと思う。
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