our last days

　社会復帰を果たした僕は今日、スーパーの前を歩いていた。そのスーパーの入り口にはベンチが設置されており、一人の50代の男性が座ろうとしているところだった。その男性は手に、ついさっき買ってきたであろう恵比寿ビールをもっていて、座ったその瞬間にプルタブを開けた。
「プシューッ」
という景気の良い音がしたその瞬間、その男性は「プシューッ」というその音よりも大きい「グビグビ」という音とともにビールを喉に流した。今日の天気が雨でなく、そしてこの男性がもっといい男だったら「ビールのCMかな」なんて思うところだけでもちろんそんなことはなく、今日はやっぱり雨で、場所も激安が売りのスーパーのベンチで、男性もそこらへんのオッサンであった。すぐに時間をチェックしてみたら、15:30きっかりであった。
　男性の身なりはいたって普通で、アル中っぽい感じでもホームレス的な感じでもなく、極めて普通である。完璧に想像なんだけど、きっとビールを飲んで良い時間を自分の中で15:30からと決めていて、首を長くして待っていたのにちがいない。で、時間を合わせながら店に入り、レジを通り、ちょうど30分になったときにベンチに座ったわけだ。15:30のボーダーラインだどうなのかという問題はあるけど、顔は幸せそのものだったんだよね。生き方に正解とか間違いとか、あるかどうか分からないけど、良い表情をしていたんだよねー。