混乱

 外で猫の鳴き声が聞こえる。どんな姿の猫なのか気になったけど、野良猫の多い地域だからわざわざ見にいくことはしない。声から判断するにおそらく子猫で、お腹が空いているのだろう。遠慮のない甲高い鳴き声がちょっと耳につく。
 気にせずに仕事を続けていたら、今度は何かが倒れる音がする。くぐもった金属音だからきっと自転車だろう。女性の叫び声も聞こえたってことは、自転車を運転していた女性がなにかの拍子に倒れたに決まっている。さすがに気になって外にでると、自転車に乗った男性二人が、これまた自転車に乗った女性を見下ろし、大丈夫か?と声をかけている。女性は白髪だらけの頭、やっぱり自転車に乗りながら何かの理由で転んだ様子。
横になった自転車の上に、うつぶせで年配の女性が乗っかっている。変なものを見ちゃった、なんて思っていたらこの女性が頭をあげ、二人の男性に対して怒り出した。興奮しすぎていて何を言っているのかイマイチ聞き取れないんだけど、なぜ支えてくれない?近づきすぎだ!避けるな!みたいな内容である。倒れている女性を助けようとする男達。そんな男達に助けて欲しいのか欲しくないのか、良くわからない年輩の女性。手をつかんだり振り払ったりしている。ついに真っ昼間の路上で三人は口論を始め、その派手なやりとりに次々とやじうまが集まる。いつしかちょっとした集まりができ、何もなかった路上の温度があがった気がする僕。
 醜い争いに見切りをつけ僕は仕事に戻ったんだけど、口論の3人と同時にやじうまもまた騒ぎだし、同時に猫もやっぱり泣いていて、僕は何が何だか分からなくなった。あーあ。生きるってそんなもんか。
日々 | comments (0) | trackbacks (0)
calendar
<< June 2011 >>
SunMonTueWedThuFriSat
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
selected entries
categories
archives
recent comments
profile
others