過去からは逃げられない

 もう完全にいらないと思って処分したものがある日突然、必要になるという体験は誰にでもあると思う。その時は悔しさを感じるのと共に、完全に頭から消していたそのものを思い出し、不思議な気分になる。すずっと忘れていたつもりでいたけど、もう必要ないと思っていたそのものはしっかりと記憶の片隅にあったのだ。僕にとって今回のオウムの事件はまさにそうで、記憶のアーカイブから1つのファイルがポンと出てきた感じである。なんか、不思議な気分なんだよね。
 逃亡生活を続けていた容疑者たちは決して逃げられない重荷を背負って日々を過ごしていたことになる。いつ尻尾を捕まれるか、ビクビクしながらの生活はどんな感じだったのだろう。映画や小説で知る逃亡生活の苦しさはもちろんあるんだろうけど、それとはまた違う、永遠に終わらないであろう地獄に近いものに感じられたんじゃないのか、と思ったりする。やっぱり、誰しも過去から逃れる事は出来ないのだ。いくら捨てたつもりでも、しっかりと頭の片隅に隠れているんだよね・・。
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