似合うんだよね

 車に乗り込もうとしたら、自転車に乗った変なおじさんが話しかけてきた。実はこのおじさん、僕が車のドアを開けながら荷物を後ろに移動していたときに前を通り過ぎたんだけど、その時にずっとこっちを見ていたものだから僕もちょっと警戒していた。右手を上げながら、ちょっと会釈をしてきて、いきなり
「この車、洒落ているねえ。どこの?」
「あ、日産なんですけど」
「あそう、これ日産なんだ。なんて車?」
「ジューク、という車なんですが・・」
「何?19?20,21,22の」
「まあ、そうですね・・」
「このグリルが洒落ているね、これ日産なんだ。どのぐらい走るの?」
「どのぐらいって、一応1500ですね。」
「1500というと、●●(良くわからない車の名前)みたいなもんか。これはあれか、スポーツ車?」
「いやー、どっちかというとコンパクトカーの部類になるんですかね。」
「このランプが格好いいよね。ちょっと付けてみてくれる?悪いね」
律儀に電気をつける僕。
「おお、上のも点くんだ、洒落てるねえ。それにしても車はやっぱり日産だよね・・」
「あ、そうなんですか、僕は日産は初めてなんですけどね」
「でも君はあれだなあ、トヨタの方が似合うなあ」
「あ、ありがとうございます・・」
「ガリバー?」
「いや、日産のディーラーから買いました」
「どこの?」
「あ、幕張なんですけど」
「ああー、高品のあそこにもあるよね」
「そうですね、ありますね。あそこにも置いてありますよ、この車」
「えーと、なんだっけ?名前」
「ジュークです」
「そうかそうかそうだった。じゃ。」

そう言いながらおじさんはまた右手を上げ、帰っていった。僕はしばらく会話の中身を反芻しながら、
「車は日産がいいんだけど君はトヨタだよね」
と言われたことの意味が理解出来ず、運転しながら考えていた。誉められてはいるんだけど、なんだか素直に喜べないような、そんな感じである・・。
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