同じ!

 韓国映画の傑作で「チェイサー」というのがあって、これが最高に面白い。猟奇的連続殺人事件をモチーフにしていてかなりグロかったりするんだど、オープニングでいきなりグイグイと引き込まれ、気づいたら夢中になっているという案配である。
 こういう映画でポイントとなるのは犯人の描き方である。犯人を理解出来ない人物として冷たく描いては観客はノレないし、寄り添い過ぎると観客が感じる迫力や嫌悪感が薄れてしまう。距離感が問題なのだ。
 チェイサーにおける犯人は若い女をさらってきては殺すという到底理解できない犯人である。そこに知性や計画性はなく、デリヘルを呼んでは行き当たりばったりで殺したりする。内面もあまり描かれず、境遇も説明されないから映画としては突き放している方なんだけど、動き方やしゃべり方や仕草でなんとなく現実感を保っている。わりと普通の人、なんだよね。
 犯人が捕まり、警察署でお菓子を食べるシーンがあるんだけど、このシーンを見て僕はマジでビビってしまった。キャラメル包みをした菓子を食べるんだけど、その食べ方が独特なのである。キャラメル包みを片方だけ解き、解いた方から菓子の部分までを口に入れ、歯を締める。包み紙を噛んでいる状態である。そのまま包み紙を引っ張るんだけど、歯を締めているからそこに菓子が引っかかり、紙だけ引っ張り出されるのである。こういう細かい演出がいい映画の条件だったりするんだけど、この食べ方、僕と全く同じなんだよね・・。この食べ方は子供の頃からのもので今更治らないクセになってしまっていて、しかも周りに同じような食べ方をする人はいない。世の中でオレだけかな、行儀が悪いしなあ、と思っていたんだけどまさか連続殺人犯と同じだとは・・。と、変な所で犯人との距離がなくなり、なんだか怖くなった瞬間であった。
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