価値観が変わった瞬間

 家が崩れたり、ビルが倒壊したり、そういう映像をTVで観てきた世代としては、NZでの地震の映像にある種の恐怖を感じたことにちょっと驚いている。変な話、阪神大震災、台湾の地震を通じて(不謹慎な言い方だけど)そういう映像に「慣れ」みたいなものがあると思っていたからである。まして僕は9.11の映像をこれでもかと見せられた年代でもある。
 思えばたくさんの人が中に入ったままビルが崩壊していく9.11のあの映像は世界の価値観を変えた。あれ以降、映画やゲームの映像は説得力をなくし、
「一番すごい事が本当の世界で起きた」
「現実が何よりも残酷なんだ」
ということを再認識させられた。人々がビルから身を投げたり、崩壊する建物から必死の形相で逃げ出す映像はあまりにも強烈で、ちょっとした感覚の麻痺が起きていたんじゃないかと思う。
 後からそれは人間が引き起こした出来事である事を知る。残念なことだけど世の中には憎悪や憎しみが確かに存在し、死者数の数が上昇していくに連れ、悪魔というのか怒りというか、負の感情というか、名前はわからないけど純粋に悪であるその何かの横顔を見た気がした。
 9.11のあの出来事は誰かが意図的に起こしたことであり、確かな意志がそこに見て取れるんだけど、地震は違うんだよね。震災には何のメッセージも意図も悪意もない。誰も悪くない、そこに悪役はいないんだよね。その無差別さというか、
「意味のなさ」
が僕が感じた恐怖の正体だと思う。もちろん、災害に理由や意味なんてないのは百も承知だけど。ちょうど元フロリの仲間がNZに行っていて心配していただのが、ちがう場所だったようで無事らしい。喜びたい所だけど、他の人のことを思うと素直に喜べない。
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