時代の違い

 東京タワーの高さを超えたスカイツリーには未来の匂いがする、というのは誰もが同意してくれると思う。あれを作るのはきっと超高度な技術で、日本人ならではのものだとも思う。この時代に置いては何となく明るい話題だし、完成したときにはもっと大きなニュースになるだろう。でも、高さでは圧勝でも、本当の意味では東京タワーに勝る存在になることはないんじゃないかと思っている。

 僕は「ALLWAYS3丁目の夕日」って映画が嫌いで、その文句をここにも書いた。何が嫌かって「昔は良かった」的なその考え方で、「昔ってそんなに良かったか?」と思うのである。僕はその「昔」を知らないし、今が駄目だから昔が良く見える、というのはわかるけど、その「昔」には今と変わらない嫌な面が同じようにあるはずで、その部分を排除して見せないようにしているのが嫌いなのである。
 で、「3丁目〜」には建設中の東京タワーが出てくる。人々は少しずつ高くなる塔を見上げながら、これからやってくるであろう素敵な未来に思いを馳せている。東京タワーは戦後の焼け野原から完全に立ち上がった日本の復興の証であり、これからもっと良くなる、という希望の象徴だったんだよね。これがきっと東京タワーを特別にするもので、だからこそのその時代を知らない人をも惹きつける何かがある、のかな。
 昭和33年に東京タワーを見上げた人々が思った未来と、今の僕らがスカイツリーを見上げながら思い描く未来は全然違うもの。時代そのものが違うのだから当たり前だけど、スカイツリーを見ながら
「いい未来になるかも」
と思える空気でないことは何となく残念かな。そういう意味ではシンボルとしての東京タワーとスカイツリーの差は歴然。時代の問題だろうけど・・。
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