劇的

 僕の恩師の一人はチリ人で、きっと今頃ニュースにかじり付いているだろう。チリ人の男は根性がある、と先生はいつも言っていたの(南米ではだいたい皆そういう)を覚えている。今回のこの事故を通じて、その言葉が本当であったんだと感じている。僕があの状況に置かれたら1週間も持たない。精神的にも肉体的にも潰れて、周りの迷惑になることだろう。
 救出劇とは上手く言ったもので、本当に全世界が見つめている。アルゼンチンのyahoo!では映像が生中継されていて、最新情報も5分以内に更新されているんだよね。日本では想像もできないぐらいの注目度なのだろう。

 ニュースを見ながら感じられたのは愛国心である。救出工事が行われているキャンプでも、カプセルの本体にも、地下の事故現場にもいたる所にチリの国旗が描かれていたり、たてられていた。生中継を見ていたら、工員が救出されカプセルからでる時に国旗を渡されていて、国旗を広げてアピールしていたんだよね。最初にカプセルを沈める時に地上の作業員は国家を歌いながら送り出したというし、大統領も
「今日ほどチリ人である事を誇りに思う日はない」
とコメントしていたけど、国を想う気持ちが何かの支えになっていたのかな。
 でもまあ、この件を通じて信じることとか、忍耐とか、希望とか、あきらめない事とか、それらを持つことで人間は例え極限の状態の中にいたとしても、何かを成し遂げることで出るって事だよね。それを証明してくれた事こそがこの事件での奇跡かな。
 あんまり無粋なことは言いたくないけど、ちょっとした演出や政治的な利用も見えないこともないし、今後も上手く利用されてしまうだろうとは思うけど、世界中が固唾を呑んでカプセルの行く先を見守ったこの「一体感」みたいなものは本物だよね。
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