死刑

 バットマンが二重人格であることをこの前ちょっとだけ書いた。バットマンを読んでいると気付く瞬間があるんだけど、実はバットマンはバットマンを毎回苦しめる悪役と全く同じだったりする。同じように常識や正義から外れて、同じように頭がおかしいんだけど、一つだけちがうのは
「殺人をおかさないことである」
バットマンは毎回毎回犯人をとっ捕まえては精神病院に送る。捕まった悪役はいつしか病院を脱走し、またバットマンを苦しめ、またバットマンに捕まえられ、やっぱり脱走するというパターンを繰り返している。そんなんだったら殺しちゃえよ!と子供の頃に思ったのだが、バットマンはもちろん殺さない。それは、殺した瞬間に自分が悪役と何の変わりもなくなってしまう事をわかっているからである。「ダークナイト」ではジョーカーはまさにそこを突いて、バットマンの存在意義に疑問を投げかける。
 
 というのはマンガの中の話だけど、これと似た話が今回の裁判員裁判で起こっている。例の耳かき殺人の裁判のことである。検察側から死刑が求刑され、裁判員たちはこれから「殺すか殺さないか」を議論しないといけないのである。殺すか殺さないかという言い回しはいささか乱暴だとは思うけど、事実である。今までだって死刑はあったが、今回はあくまでも
「一般人である裁判員」
が議論をする、というのがポイントである。裁判員に選ばれた方々はこれから究極的な問題に立ち向かうことになる。犯罪者に人権はあるのか。被害者と加害者の命の価値に差があるのか、そして人を殺す決断を下せるか・・。もし極刑という決断を下した瞬間、加害者と自分達の間に何か違いがあるのだろうか。被害者の家族が苦しむ中、加害者が代償を払わない所に正義はあるのだろうか。
 まあ、実際死刑になったとしても控訴もあるのですぐには行われないし、確定するまでは平均で10年以上はかかるみたいだけど、当事者にしてみれたばどう転んでも上手く収まらない問題である。
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