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感受性

 今日もまた電車にのって出張に出かけた。流石に今日は酔わなかったけどとても疲れた。社会というのは複雑なもので、複数の団体が同じ目標を元に集まっても不思議と上手く行かないものだ。もちろん自社の都合も目論見もあって、互いの腹の内を探り合う展開はとても疲れる。正しいことはそう多くない。みんなそれを知っているのにやろうとしないのは何故だろう。
 今日は電車の中で「嫌われ松子の一生」を読み終えた。昨日は上巻、今日は下巻を読んだので、電車はちがう意味でも金がかかる。残りページの枚数が少なくなるたびに僕は少しずつ泣きそうになり、電車の中にいることを思い出して必死に我慢した。もっと若い頃は自分の中の感受性を自覚する事ができたけど、それはそれで苦しいんだよね。年を取るたびに封印したのか薄れていったのか解らないけど、感動や悲しみを感じる事はあったとしても昔ほど深いものではなかった。今日この本を読み終えて当時の感覚を少し思い出した。出来事も登場人物も架空のものだという事も分かっているし、現実の世界ではもっと悲惨な事がたくさん起こっているけど、僕の心は小説の中を泳いで切なさで一杯になっちゃったんだよね〜。オススメします。

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