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夜行バス

 大阪に行くときに良く夜行バスを利用した。当時は千葉中央駅を真夜中少し前にでて、大阪の梅田の6:00前に到着する案配だった。深夜バスの利用者といえば
@ 貧乏学生
A 訳ありカップル
B 夜逃げ中の家族
C 貧乏旅行中の若者
D 家出中の少女
と相場は決まっている。会社によって違うかも知れないけど、夜行バスの座席は普通のバスと変わっていて、並んでいる席はない。両窓際に一列、そして真ん中に一列並んでいて、隣合わせにならないように出来ている。中は消灯状態で、おまけに窓にはカーテンがかかっていて中は真っ暗になっている。小さな読書灯はついているが、使う人はほとんどなく、暗闇と静けさがバスの中を満たしている。バスの中で出来る行為としては
@ 寝る
A 寝る
B 寝る
である。途中にトイレ休憩が一度あるが、誰も言葉を交わす人がいなく、耳にする声は運転手のアナウンスだけである。長い時間を一緒に過ごすのだけどそこに一体感はなく、とにかく静かで葬儀みたいな空間である。
 もっと切ないのは着いてからで、夜が明けたばかりの街に放り出されるのである。地理を憶えていればいいのだけど、まだ憶えていない頃は、酸っぱい不安と焦りが心を満たして、地球上の最後の人間の気分はこんなものか、なんて思ったりした。
 バスが到着すると乗客は全員我先とバスを降り荷物を受け取り、バラバラに散っていく。みんなどこかに向かっているのに僕だけどこに行けばいいのか解らない時の気分と言ったら、なんと表現していいのか・・・。右も左も解らないとは上手く言ったもので、もう立ちつくすしかないのだ。大きな荷物を背負っているしね・・・。梅田は常に人で溢れかえっている街だったけど、そんな時間には人影はまばらで、夏の終わりの残暑が厳しくても吹く風は冷たかったっけ。

posted by @6 : 00:54

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