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ヨイトマケ

 美輪明宏の歌で「ヨイトマケの歌」という名曲がある。女手一つで育ててくれた母を想う歌で、聞いた事がある人は多いハズ。学校で「ヨイトマケの子」といじめられて、家に返る途中の子供が泥だらけになって働く母の姿を見て、弱音を吐かなくなり強く生きていくというストーリーの歌である。とにかく心に訴える歌で、聞けば誰もが思いに耽る一曲である。これを歌った時の三輪(1966年当時は丸山だった)は今とは全く違う姿で、質素なワイシャツ一枚で歌っていた。歌詞の中の「土方」という言葉が元で放送を自粛されたこともある。今聴くと高度経済成長の途中で日本が何を失ってきたかを歌っているようで、なんだか不思議だ。
 僕らの世代が知る美輪明宏はきっと昔話ばかりする人、いつからか幽霊が見える人、というイメージのハズだ。三島に愛された話は何度も聞いてるし、最近では戦争体験を良く話していた。
 美輪さんは1935年生まれだから、71歳ということになる。と言うことは日本の近代歴史を生きてきた事になるんだよね。日本の文化と社会の変化、戦争の前と後を良く知っているだろう。その流れの中で日本が何を失い、何を得たのかを知っているのだろう。ともなれば何かを語るのは当たり前かも知れない。
年配の人が自分の人生を語るのはきっといい事だが、若い人がそれを聞きたがるとなるとまた違う問題で、僕なんかは全く聞いた事がない。ガキの頃に年配の人の話はきっとつまらないとしか思わないだろうけど、色々知りたいと感じるこの年になると教えてもらえば良かったと思う。
 ヨイトマケの歌は日本の復興の裏にあった必死な想いを歌っていると僕は思う。今日オリンピックの国内候補地が決まったけど、1964年の東京オリンピックこそ日本の復興の象徴。その裏には多くの人の「ヨイトマケの歌」があった事だろう。言ってみれば当時は日本という国の青春で、その成長が止まった現代は人の人生に例えるどの部分に当たるのかな。
 今日オリンピックのニュースを聞いたら、何故かこの「ヨイトマケの歌」の事を思い出してしまった。今回のオリンピック誘致は前回と全く違う想いの中で行われる事になるだろうけど、当時の日本の事を良く勉強したいものだ。

posted by @6 : 14:11

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