死んでから評価

 マイケル・ジャクソンが予定していたツアーのリハーサル映像で構成された映画「This is it」の公開が間近になり、今週はMichaelを特集した番組が多かった。特に昨日のスマステの特集はかなり力が入っており、ナレーションが小林克也である事もあって、非常に面白かった。死んでから評価が高まるこの流れはいいものとは思えないけど、ここに来てマイケルの「実はいい人」の側面がクローズアップされている。BADツアーの全収益を実は全部寄付していたとか、ツアーで訪れた街の病院に必ず行っていたとか。今日放送されたタイトルの知らない番組では、自分の子供たちの誕生日で鼻歌を歌う様子が流れていたりと、見ている途中から涙が止まらない構成であった。生涯で200億円を寄付していたのだから、本当にすごい人物である。
 「スマステ」と「タイトルの知らない番組」が結構な時間を割いたのは、今年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでマドンナが行った「マイケル追悼スピーチ」の様子であった。このスピーチは完全に水面下に用意されたもので前情報が全くなく、リアルタイム(アメリカでの放送よりは全然遅いけど)で見ていた僕は非常に驚き、あまりの感動的な内容に涙ぐんでしまった。そのスピーチでマドンナはマイケルとの思いでを語った。
・同じ歳に生まれた事
・同じ中西部で育った事
・同じ8人兄弟であった事
・マイケルを食事に誘った事
・その時の様子
・マイケルの死を知った時の事
・そして今、マドンナの子供たちがマイケルに夢中で、家で股間を掴みながら踊ったり、ムーンウォークをしている事
を語った。「スマステ」も「タイトル不明の番組」も似たような感じで、同じ映像を流したんだけど、実は両番組とも肝心な部分を放送していない。ホトンドの人たちはMTVなんて見ないから気づかないけど、スピーチの中での一番の重要な部分がカットされているのだ。
 スピーチの中盤で、マドンナはマイケルが児童虐待の裁判の容疑と戦っている時期についてふれているのだ。

何度か出かけましたが、その後は連絡が途絶え、魔女狩りが始まったのです。
マイケルへの批判が次々に出てきました。私には彼の痛みがわかります。
世界中が敵になったような、あの苦しみ。自分の弁護すらできない無力さ。
群集の怒号にかき消され、自分の声は届かないと思い知るのです。
でも、私には子ども時代があり、過ちを犯しても注目を浴びることなくやり直せました。

マイケルの死を知ったのは、ツアー前のロンドンでした。
彼も一週間後に公演を控えていた会場で、あの瞬間に思ったことは、「彼を見捨ててしまった」。
私たちが、彼を見捨てたのです。
かつて世界中を熱狂させた偉大な人物を、平気で見過ごしていたのです。
また仕事を始めようと努力していたとき、私たちはみなそれを冷ややかに見ていました。ほとんどの人は彼に背をむけました。


MTVを見ていた僕は、マドンナの
「みんなも彼を見捨てたよね?」
という一言に僕は深く頷き、心の中で
「良く言ってくれた!」
と思いました。マイケルが亡くなり、追悼ムードの中で町中の人たちが悲しみにくれる様子がこれでもかと放送され
「偉大なエンターテイナーを亡くした」
「信じられない」
「マイケルを愛していてた」
と涙混じりに言うんだけど、
「じゃあ、お前らマイケルが叩かれていた時に応援していたのかよ!マイケルは絶対にやっていないと信じていたのかよ!」
と思いはじめていた時のマドンナのあの言葉は最高だった。その時会場の空気が一瞬変わったから日本では放送されないのかなあ。
 未発表曲でモメたり、他殺説が出たりと相変わらず変な話題が多いが、映画が終わったらマイケルの話題は少しは落ち着くかな。悲しみはするが、すぐに忘れるのも民衆だったりするからね・・・。それにしてもマドンナ格好いい。

動画はここ
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