嫌な奴

 たまあに会う人でどうしても好きになれない人がいる。60過ぎぐらいのおじさんなんだけど、言葉の節々に毒気みたいなものがあって、どうにもこうにも苦手である。見てくれは全然普通なんだけど、喋ってみると
「今すぐここから逃げたい」
と思ってしまうのである。
 というわけで、今日は勇気を出して仕事仲間の一人の
「俺あの人ちょっと苦手なんだよね〜」
と打ち明けた所、「実は僕も」、「実は私も」と、同じように思っている人がたくさんいて、
「やっぱり皆もそう思っていたんだ」
と一人で納得したのである。
 僕はそんなに人好きではなく、
「僕が好きな人たちだけに好かれればいいかな」
なんて思っているんだけど、このおじさんを見ていると非常に悲しくなるのである。
 きっとあのおじさんはどこに行っても同じような態度で振舞うわけで、きっと僕と同じ様に思っている人はたくさんいるのだと思う。中には嫌っている人もいるかもしれない。そしておそらく本人はそう思われている事にびた一文も気付いていない感じなので、きっとこのまま生きていくのだと思う。
 このおじさんの嫌さ加減を文字に変換するのは難しくて、どうにも説明できないんだけど、なんていうか、人を嫌な気分にさせる才能があるというか、普通にしゃべっているんだけどケンカを売っているように見えるというか、もうそんな感じなのである。これが映画だったらきっとおじさんには不幸な生い立ちがあり、涙なしでは語れないドラマがあり、誰にも癒せない心の傷を背負っているという説明が白黒映像で入るだろうけど、これは映画ではないし、そして例え本当の事だったとしても、やっぱりおじさんの印象は変わらないと思う。そして何が悲しいかというと、僕が嫌だと思っているように、たくさんの人たちが同じように嫌だと思っているだろうってこと。断じてあのおじさんの事を可愛そうに思っているわけではなく、
「誰かを嫌だと感じてしまう事で、自分のことをちょっと嫌いになる」
あの感覚が嫌なのである。あのおじさんは色んな人にそう思わせているわけで、それに気付かずにいるんだよね〜。なんか、世の中って色んな人がいるなあ、本当。
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