諦めるとき

 僕の車の後ろのタイヤがツルツルになっている。ちょっと前から気付いてたけどまだ大丈夫かな、というちょっと甘い考えがあって、そのままにしてあった。そして先週の雨の日の深夜、家に帰る途中のカーブでスリップを起こした。雨でグリップが上手く行かず、車のお尻がドリフトをする形になってしまった。後車も歩行者もいなかったし、スピードも出していなかったし、道には僕の車だけだったので特に何もなかったけど、本気でビビり、久しぶりに「怖い」と思った。

 変な話だけど、僕は一度生きることを諦めた瞬間がある。こう書くと大げさに聞こえるけど、なんていうか、
「ああもうダメか」
「終わりか・・」
と瞬間的に感じたってだけの話なんだけど。

 あれは僕はが頭の悪い中2だった頃の事。自転車で稲毛のヤングボウルの通りを横切ろうとした僕は、横断歩道まで行くのが面倒で、信号待ちをしている車と車の間を通り、道の反対側に渡ろうとした。その道は2車線になっていて、右折を待つ車線だけに列が出来ており、左側の車線は空いていた。僕は列が出来ている車線の車と車の間に自転車を止め、空いている車線に車が来ていない事を確認してから走り出した。が、その瞬間、猛烈なスピードで車が僕に向かって走ってきたのである。後で分かったんだけど、その道は車に乗っている方から見ると小さな坂になっていて、坂を上りきるまで前が見えないんだよね。その時の車と僕との距離、そしてお互いのスピードでは衝突を避けることは到底無理であった。その時の僕には恐怖とか焦りとか、そういったものは一切なく、とてもあっけなく
「ああ、終わった、ごめんなさい」
と思った。短い時間の中で、僕の脳みそはフル回転して出した答えが
「無理」
だったんだよね、きっと。僕は逃げるでもなく、身構えるでもなく、車がぶつかって来るのを待ったんだけど、その次の瞬間、道路の向こう側に着いていた。振り返ると通りすぎた車の運転手がもこっちを見ていて、引きつった表情をしていた。今でもどうやってぶつからなかったのかなあとか、なんであっけなく諦めたのかなあとか、色々と思うんだけど答えもなく、自分のことでありながらもちゃんと説明も出来ない。


とりあえず道を渡る時はちゃんと横断歩道を使わないとね。
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