愛国心

 スカパーでオシムが言っていたんだけど、ドイツかな?のある選手が代表の興奮してユニフォームを投げ捨てたことが原因で今大会の招集を見送られた、ということがあったらしい。選手名も覚えていないし、ドイツかどうかもいまいちハッキリしなくて、非常にあやふやな話で申し訳ないんだけど、オシムは
「それは当然」
という顔をして言っていたのがとても印象深かった。
 
 今、ワールドカップで戦っている各国の選手たちはほとんどがプロの選手である。稼いでいる金額に差があれど、みんな体が資本である。各々どこかの国のリーグのクラブチームに在籍して、そのクラブから金をもらっている。つまり、W杯が主戦場ではないのである。メインの仕事場は自分が所属しているチームであり、飯の種もそこにあるのだ。しかし、彼らは怪我をも恐れず、自分の国のために必死に戦っているのである。長時間プレイできないような怪我をしてしまったらクラブから契約を解除される可能性だってあるし、選手生命を脅かす怪我をする可能性もあるのに、である。

 もし僕が何億ももらっていてるスター選手だったら、W杯に出て怪我をすることをとても恐れると思う。怪我をしてしまって年俸をもらえないかも、という思いが脳裏に浮かんできて、「辞退とかできないかな」なんて考えが絶対に浮かぶはずである。しかし、W杯を戦っている選手たちを見ていると、そんなそぶりはまったくないんだよね。僕はワールドカップの一番面白いところはここにあると思う。いい大人たちが(毎回同じフレーズ)金や利益とは関係のないところで必死に戦う。愛国心、と一言で片付けるのは簡単だろうけど、その意地やプライドの張り合いは理屈なしに熱いんだよね。

 そんな彼らを応援するために地球を半周するサポーターたちも同じで、これも一種の愛国心だと言える。面白いのは敵のサポーターだって半周して来ているのだから、違う国を応援する敵同士でありながら、第三者から見ると似たもの同士になるよね。ワールドカップでサポーター同士の交流が多いこともなんだか分かる気がする。僕は見に行ったことはないが、きっと連帯感みたいなものが感じられるに違いない。

 まあ、ワールドカップは実質的には選手の見本市であったり、優勝資金も20億円近くだったり、放映料もとんでもない金額なんだよね。スポーツメーカーの戦場でもあるし金との関係は切り離せないけど、ピッチ上、そしてスタンドではそんなことは関係ないと信じたい。
 真剣な表情で国歌を歌う選手達の姿に愛国心を感じる様に、試合後の選手達が健闘をたたえ合う姿にも、そして試合後のサポーター達が言葉を交わす様子にも、自分の国に対する尊敬と愛を感じられる。愛国心って実は、他国を通じて感じるのので、もしかしたら、他国を認めることが真の愛国心なのかもね。
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