マラドーナについて

 僕の世代の人たちは、マラドーナがピークを迎えている頃にはまだ幼い頃で、すごさを理解できる年齢ではなかったと思う。マラドーナについては色んな人が色んなところで書いてきたし、映画にもなり、ドキュメンタリーにもなり、ゴシップも腐るほどあるから誰もが知っている人物であって、今更語ることってないだろうに、未だに人気は衰え知らずW杯期間中の今TVに出てこない日はない。良くも悪くもマラドーナには人を惹きつける何かがあって、プレイヤーだった頃も今もそれは変わらない。
 
 凄く前にも書いたけど、アルゼンチンではマラドーナは無条件で好かれているわけではない。マラドーナは下級層の出身で、サッカーでなり上がった人物である。そのプレイでアルゼンチンを有名にし、数え切れないほどの栄光をもたらしたものの、それと同じ数だけの愚かな行いでアルゼンチンの名前を汚してきた。イタリアでのマフィアとの付き合い、隠し子、コカイン、ドーピング疑惑。マラドーナを崇める層のほとんどは彼と同じ裕福ではない層で、アルゼンチンの名声やプライドを重んじるブルジョワな層からは嫌われている。面白いことにイタリアに行ってナポリでプレイしたときも同じ全く構造だったんだよね。イタリアでは経済や文化の中心である北が田舎の南を差別しているんだけど、マラドーナはその田舎であるナポリを率いて、ミランやユーベやインテルを倒してきた。それはただの田舎ものが大企業のフィアットを負かせることであり、都会のお高くとまった人たちを負かしたってことで、革命みたいなものだったんだよね。つまり、マラドーナって常に「反体制」なのである。だから今になってカストロと付き合ったり、ゲバラのタトゥーをしたり、反米的な政治的な発言をするのも当たり前なのかも知れない。常に弱い方の目線で、大きいものや強いものに立ち向かう、そして思っていることを堂々と言う。誰もが心の中には持っているけど、口には出せないことを簡単にいうものだから、そりゃ見ていて気持ちがいいよね。
 
 あんまり言われないけど、マラドーナってすごく仲間思いなんだよね。現役のときも、監督になった今も変わらないのもいい。僕はそこが好きで、選手に抱きついている所を見ると笑顔になってしまう。大体は選手のほうが全然大きいから、マラドーナが首からぶら下がっているようにしか見えないけど。
 マラドーナがいるかどうかで今後のW杯の盛り上がりが左右されるから、是非とも勝ち残って欲しいものである。
フットサル、サッカー | comments (11) | trackbacks (0)
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