見せ物

 最近「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」というSF小説という小説を読んでいる。すごくいい話だから今度書こうと思うんだけど、この話のなかで
「ディオンヌ家の五つ子」
の話題が出てくる。ディオンヌ家の五つ子とは、1934年にカナダで生まれた五つ子のこと。当時では五つ子というのはとても珍しくて、すぐに誕生のニュースが国中を駆け回り、五つ子を見るためだけに世界中から集まった。金の臭いを感じた州政府は両親から子供たちを離し、見せ物小屋を作って見物人から金をとってずいぶんと儲けたと言われている。ピークで一ヶ月に10万人が見たっていうから、よっぽどの騒ぎである。両親も儲かった話もあり、当時としては当たり前でも、現代では間違いなく人権侵害にあたるよね。

もう一つ
 キューバ革命で有名なチェ・ゲバラ。一緒に戦い革命を成就させた友人の中にカミロ・シエンフェゴスという人がいる。二人の仲の良さは良く描かれるんだけど、この前見た映画の中にはこういうシーンがある。ゲバラとカミロが戦いに出向く前に地べたに座りながら一緒に葉巻を吸っている。で、カミロがゲバラに言う。
「いいことを思いついた。この戦争が終わったら檻を作って、その中にお前を入れて全国を回ることにする。そうすれば俺も億万長者だ」
というのだ。

 僕が子供時代にはまだかすかに残っていたと思うけど、見せ物小屋という娯楽は昔はあったらしい。街から街へと流れてはテントを立て、蛇女とか小人とか、奇形動物(頭が二つある蛇とか)怪しげで不思議なモノを見せていたらしい。女性が蛇を頭から食いちぎって食べる、という見せ物小屋の映像は見たことあるけど、その暗く、非日常的な雰囲気になんとなく憧れがあるんだよね。ディオンヌ家の五つ子でもゲバラでもなんでも良いけど、とりあえず見てみたいという好奇心をこれ以上ないぐらいに刺激してくるよね、見世物小屋って言葉は。
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