暴力

 あまりにも良かったため@25にあげて映画で「息もできない」という韓国の映画がある。社会の底辺に生きるやくざの男と、心に傷を持ちながらも健気に生きる女子高生が出会い・・、というストーリーである。男のほうは出所したばかりの父と暮らしている。この父が服役の原因となった大きな犯罪を犯しており、主人公はそれを許すことが出来ない。彼はとにかく暴力的で、自分の気持ちを言葉で表現することが出来ない。借金の取立てをするのが仕事なんだけど、債権者を殴り、部下を殴る。家に帰っては父を殴っている。
 女子高生の方ははベトナムで戦い、後遺症があって働けない父と、やくざになろうとしている兄と暮らしている。母親はヤクザに殺されたのだが、ボケている父は母親の死を理解できず、毎日毎日
「あの女は男と逃げたのか!」
と暴れる始末。彼女は家事をしながら金を稼ぎ、学校にも行く。主人公2人とも何かの拍子でいつ崩壊するか分からない生活の中にいるのである。ある日、主人公が吐いた唾が彼女の制服にあたる。彼女は男に文句をいうのだが、男は何も言わずに彼女を殴って気絶させる。それが出会いである。やがて2人は心を通わせあうんだけど、2人の間には実はある因縁があった・・。
 とにかく主人公の男ずっと下品な言葉を吐きながら誰コレかまわずに殴っていく。最初はなんて乱暴でどうしようもない男だ、と思うんだけど映画が進むに連れ、殴ることしか出来ない彼の悲しさを理解できるようになる。彼は世の中の全てが嫌いなんだけど、自分自身が一番嫌いなのだ。そんな人間なんているわけないじゃん、なんて思うけどそんなことはない。誰の中にも暴力性はあるからね。主人公みたいに「バカやろう!」を連呼しながら誰コレとかまわず殴ることはないと思うけど、彼らの境遇に落ちればどうなるかは分からない。そう思うと本当に怖い。
必見です。
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