終戦記念日

 ビヨンセとキムタクの看板がある青山のあの交差点は、空襲で亡くなった人たちの遺体が置かれた場所であったらしいです。死屍累々、形も良く分からない焦げた遺体が折り重なるように積み上げられ、その血と油が消えるまでには長い時間がかかったといいます。1945年5月25日、約4400人が亡くなった「山の手空襲」のことです。今では表参道ヒルズや有名ブランドが並び、ファッションと若者文化の中心地である場所ですが、64年前には地獄の様な光景がひろがっていた事を知る人は本当に少ないでしょう。

 今日は終戦記念日。アレとアレのお陰で世の中のニュースは偏りがちですが、それでも戦争をテーマとした特番やドキュメンタリーを観る機会が増えています。誰もが良くないと知りながらも、戦争の記憶はどんどん薄れています。それも無理ありません。今の表参道を見て、過去に戦災があったことを誰が想像できるでしょう。

 なんか、こういった話って書くのも話すのも難しくて、気持ちのいい話でもないし、決して楽しくもないし、人によっては聞きたくないと思う人もいるかもしれません。僕は誰かから直接話を聞いたこともないし、このアイデンティティーのためか、戦争とその被害を身近にも感じない。ただ、戦争体験を知ることで、今自分が生きている時代の有難みを感じたり、戦争状態でないことへの幸福を再確認でき、そして現在は過去での多くの犠牲と努力によって成り立っているって事を知るだけで、感謝の気持ちを抱くことが出来る。

 戦争体験者の体験談を読んでいると、誰もが共通して
「この世界から戦争をなくしたい」
と締めの言葉として書かれています。大変な思いをし、命をつないだ人々の言葉は説得力に満ちている。その方々が今の世のあり方をどう感じているのかが気になる所。その方達が言う平和と、僕らが描く平和像は同じなのだろうか。そういう意味では僕らは平和の本当の意味を知らないと言えるだろう。
「平和の本当の意味は戦争を知る人にしかわからない」
って事はないと思うけど、当たり前にそこにあるものに価値を見出すことは難しいので、僕らに非があるわけでもないだろう。おそらく「平和」は「自由」と同じで、分割できないもの。この世界を生きる人々の中で、1人でも平和を享受しない人がいれば、誰も平和ではないって事だろう。

 まあ、こんな事ばかり考えていてもあまり健康的とはいえないが、全く考えないものどうかと思う。1年に1回でいいから、この時期にこういった事を考えるのもいいかな、と思う。
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