中2

 僕がこっちに移住したのが中学2年生の事である。友達や家族との別れもあり、それまで育ってきた社会や世界とはまったく違う場所で生きていかないといけない不安もあり、短いながらもそれまで培ってきた全ての価値が半減した様な気がして、僕の中ではすごく大きい衝撃だった。
 何も知らないところで明日から暮らしていかないといけない、言葉も通じるかどうかもわからないし、という不安があまりにも大きすぎて、感情が麻痺していたように思う。中2といえども子供みたいに泣きじゃくっても良かったんじゃないか?なんて思うけど、その時は不思議とそうならかったものである。ただ言葉にならない「嫌な感じ」みたいなものがずっとあって、でも何をどうすればいいのか分からない、身動きが取れない一種のパニック状態だったと思う。
 あれから20年近く経った今でも、僕の人生での大きな出来事ランキングBEST1である。おそらく今後もあれほどの大きな衝撃を感じる事はない、とも思っている。
 僕は幾度となく
「人間の、特に男の精神的成長は中2で止まる」
と書いてきたけど、その根本にはこの体験があり、僕の中の何かはあの時止まったままだと感じることもある。その何かは何だか分からないけどね。
 
 最近知り合った中学生と話しながら、当時の事を思い出した。
「ああ、この子が悩んでいるように僕もあの時悩んでいたなあ」と、当時の事を色々と思い出す。
 なんか、思春期の頃の悩みって明日にも世界が終わってくれても全然かまわない、と思うぐらいのものだよね。自分がすごくダメに思えたり、不幸に思えたり。何か問題に直面するときに逃げ出したいし、諦めたくなるけど、そういう時に限って親や周りの大人の顔が出てきたりするんだよね。普段は親の事なんてどうでもいいけど、落胆した顔が浮かぶと冷静になる自分がいる。
 僕があの時泣き出さなかったのもきっとその両親を困らせたくなかったからだろう、と今になって思う。中2といえども、立派に気を使ってしまうんだよね。

 まあ、はっきり言って大人と言われる年齢になった今だって、大したアドバイスが出来ないように、何かがあると不安になることは変わらない。逃げるのもアリ、と思うこともある。分かったことと言えば色んな人が色んな事をすすめてくれるが、結局答えを出すのは自分自身だって事。自分で決めたことなら失敗してもまあ納得できる、ってことかなあ。悩みに対する抗体って育たないのかなあ。
やっぱり精神的には中2の頃と変わりません。
日々 | comments (15) | trackbacks (0)
calendar
<< August 2009 >>
SunMonTueWedThuFriSat
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
selected entries
categories
archives
recent comments
profile
others