平和

 広島の平和記念式典にルース駐日大使がアメリカを代表して出席した。オバマの核廃絶活動の一環、ヨーロッパやアメリカ国内へのパフォーマンス、日本に対する政治アピール。初めての出席の要因はいくつもあるだろうけど、間違えてはいけないのは、「原爆を落としたのは間違いであった」「謝罪」ではないってことだよね。

 あまり知られていないけど広島、そして長崎の二カ所で被爆した人たちが何人かいる。二重被爆である。広島で被爆し大きな火傷や怪我を負いながらも家族に会うために長崎に移動し、そこでも被爆した人たちである。二重被爆をテーマとした映画もあるんだけど、二重被爆者同様あまり知られていない。最近では「アバター」や「タイタニック」のジェームズ・キャメロンが二重被爆者に会い、彼らをテーマとした映画を作る話もあるが、実現は微妙である。

 この話を聞いたとき、僕は彼らが感じたことを想像してみた。広島でこの世のものとは思えない地獄を見て、命からがらで逃げ戻った長崎でも同じものに遭遇した人たちは
「日本中がそうなっている」
「世界中がそうなっている」
「この世の終わりだ」
と思ったにちがいない。その時の絶望感といったら、説明もできないぐらいのものだろう。二重被爆があまり認知されていない原因の一つには、本人たちがかあまり語りたがらないということがあるんだけど、全然納得できる。どんなに言葉を尽くされても、本当の意味での理解はきっと無理に違いない・・・。

 今回のアメリカ大使の対応はパフォーマンスだったとしても、僕はそれで全然いいと思っている。核のない世界が幻想だったとしてもしかたない。厳密には「保有数の減少」であって、「廃棄」ではないしね。でも、それでも声高に「反対!」って叫ぶことが必要なのだと思う。思えば「戦争は良くない」、「戦争反対」を誰もが堂々と叫ベル様になったのは最近のことだしね。2000年もの間戦争を繰り返してきた人類がここに来て気付いたわけだから、進化していると言える。
 この世界が平和になる日がくるかどうか、追えば追うほど逃げていく陽炎のようなものだろうけど、いつか掴める日が来ることを信じている人たちはいる。戦争体験者でなくても、戦争で家族を亡くした人でなくても、戦争を知る世代でなくても、いるはずである。そいう人たちが一人でも増えれば、不可能はないよね。
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