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日本刀

 僕が学生の時の好きな授業のなかで、与えられたテーマについてのレポートを書いて、それを発表するというのがあった。テーマを選ぶ事が出来ないので、興味がないものが当たるとやっつけ仕事になってしまうが、自分が好きなものが当たるととても楽しい授業であった。その中で僕が決して興味はなかったけど、好きになったというか、魅力を見つけたテーマが「日本刀」であった。
 日本刀というのは世界から見てもとても特殊な武器である。その製法からしもそうだけど、「侍の魂」等と言われるように、日本刀には武器としてではなく、美術品や宗教的とも言える象徴としての価値がある。また、世界の剣はその宝飾の美しさを競うが、日本刀は刀身そのものの美しさを愛でる。武器という戦争の象徴でありながらも、その対局にある「美」をも合わせ持つ刀は日本の精神を良く表していると思う。
 刀には実は実戦での評価はとても低い。戦場では役にたたなかった、というのが通説である。長距離では弓矢に負け、中距離では槍に負け、近距離では短刀の方が有利なためである。鉄砲が登場する時代ともなると、無用の長物になった。おそらくその頃から象徴としての存在になっいったのだろう。
 時代が変わって、太平洋戦争後には刀狩りがGHQによって行われた。日本にあった当時の刀は10分の1に減ったと言われている。非武装の名のもとの行動だったのだろうが、刀の意味を想うと日本人のアイデンティティをそのまま盗まれた様な気分だったに違いない。
 今残っている名刀は皮肉にもアメリカ人に救われた刀である。名前は忘れたが、刀の美術的価値を認めた軍人が、「日本の文化」として刀を残してくれたのである。僕はこの人の話を読んだときは気付かなかったが、この人は日本人の大切な何かを守ってくれたのだ。

posted by @6 : 18:53

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