社会

 パニック映画によく、
「災害に襲われた町の住民たちが食料品を求めて販売店を襲う」
という描写がある。食料や水だけでなく、ドサクサに紛れて関係のない電化製品を盗む輩も良く描かれる。映画で見ると
「あー、またこのパターンね」
と思うけど、本物の映像がニュースで流れると、その純粋なまでの暴力には恐ろしい何かを感じる。さっきまで社会の当たり前のルールが通用していた場所で、何かのきっかけである瞬間にそれが崩れる。その瞬間まで普通であったろう人々がガラスを割り、品物を運び出しそれを奪い合う。人間性を保つのは環境なのか、って思う。

 今年の初めぐらいに、不景気がこのまま続けば販売店を狙った強盗が増えるかも知れない、という注意を受けた。ちょうどその頃、目と鼻の先のコンビニで強盗事件が起きたばかりで、防犯のルールや警察への通報の仕方などを確認したばかりであった。なんだか社会の風向きが嫌な方向に向いているなと思ったのを覚えている。
 そして少し前に仲間の家に空き巣が入った。本人やその家族に何事もなかったので一安心だが、何とも言えない気持ち悪さがあって、心のどこかに
「まさか自分には起きないだろ」
という甘えた心を一喝させられた気分である。気をつけなきゃと思うのと同時に、この先の社会はどうなるんだろう、と不安を感じている。治安の悪さの原因は景気の悪さであると言われているからだ。
 
 日本で災害は起きても、それを利用した暴動は起きない、という美談がある。空き巣や火事場の泥棒はあるが、海外でのような大きな暴動は起きないことは日本人の素晴らしさや成熟した社会を表している、と。実際、東京大震災や阪神大震災でも暴動は起きず、奪い合うどころか、人々は助け合ったと言われている。でも、今の社会で同じようなことが起きたら、どうなるのだろうか。ちょっと不安である。

 普段は心の豊かさや人間としての正しいあり方を時、清くあろうとする人間だけど、実はその理想は「金」という基盤に乗っていることがバレてしまった気がしてすごく残念である。環境が変われば人は変わり、人が変われば社会が変わる。犯罪に走る人と走らない人の間には深い溝があると思うんだけど、環境がその溝を跳ばせるってことかなあ。
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