クルーレスに思う

clueless 昔はすごいアイドルだったのに、今ではあまり見かけないアリシア・シルバーストーンという女優がいる。すごく美人なんだけど、いつの間にかハリウッドの最前線から消えていった女優である。まだ33歳だからぜんぜんいけると思うんだけど、いつからか不思議と表舞台では見かけなくなった。
 彼女が主演している映画で、95年に公開された「クルーレス」というのがある。アリシア扮する主人公は美人で金持ちで、ファッションにしか興味がないという役を演じている。強盗にあった時に、
「今すぐにうつぶせになれ!」
と言われて
「このドレスは○○(ブランド名)なのよ!」
と逆ギレするぐらいである。とにかく彼女は美人でお洒落で金持ちで、というアリシアそのままの役なのである。
 そんなある日、学校にダサい女の子が転入してくる。その子は優しく気がいい子なんだけど、いかんせんダサいのである。というわけでアリシアは彼女を改造し、なんとか美人に見せようとするのだ。一見アリシアの好意に見えるんだけど、実はそのダサい子を着せ替え人形の様に扱っていて、ダサい子が美人になればなるほど、自分の足りなさに気付いていくのである。
 僕はこの映画が好きで何度も見ている。アリシアの美少女っぷりもすごいけど、実は
「最初はダサいけど次第に綺麗に見えていく女の子」
がすごく魅力的なのだ。そしてそのダサい少女を演じていたのが昨日亡くなったブリタニー・マーフィーなのである。

 ブリタニー・マーフィーは02年のエミネムの映画「8mile」で成り上がって、それ以降も順調に映画に出ていた。主演作もあったりして、順調なキャリアを歩んでいた矢先の訃報である。僕と同じ歳なので、本当にビックリした。「クルーレス」以降チェックし続けていたので、彼女の映画はほとんど観ているんだけど、どの映画でも彼女の笑顔が印象的であった。コメディが多かったし、漫画のキャラのような大きな目と大きな口での笑顔を求められていたのかな。
 
 ブリタニー・マーフィーはハリウッド女優なのに「気がきいて優しい」という事でも有名であった。インタビューで何度同じことをきかれても嫌な顔をしないし、旺盛すぎるサービス精神で逆にインタビュアーを笑わせようとする。そしてインタビューが終わってから飲み物や食べ物、テーブルの片付けを自らしていたのだそうだ。オマケに終始その大きな目と口で笑うのだから、誰もが彼女の事を好きになるらしいのだ。その話を雑誌で読んだとき、
「クルーレスの役そのままじゃん」
と僕は思って、なんだか嬉しくなったのを覚えている。

 訃報を伝えるヤフーニュースを読みながら、彼女の名前を知っている人たちはどれだけいるのかなあ、と思ったらなんだか切なくなった。日本ではそんなに名前が通っているわけでもないし、映画も知られていないしね。彼女の死を真剣に受け止める人はそういないはず。有名人だし、全然遠い存在だし、共通点なんて一つもないけど、でも、あんな素敵な笑顔の人がこの世から亡くなるのはやっぱり悲しい、と思うのである。
brittany_RIPRIP
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