貧乏で死ぬ

 今日、経済講座的なものを聞かされたなかで、日本が経済的に崩壊する日は近い、みたいな話があった。
「2×××年 日本崩壊」
という内容の記事がどっかの新聞に掲載されたとかで(曖昧すぎでごめんなさい)、そう遠い未来の話でもないらしい。日本が背負っている借金を全国民で割ると900〜1000万円、という事になるらしく、全く失礼な話である。そこで、僕が少年時代を外国で過ごした時にそういうことはなかったの?みたいな話になり、色々と思い出しているうちに考え込んでしまった。
 
 僕の浅い経験から言えば、日本に貧乏人はいないと思う。そりゃあ局地的に見れば金がなくて死ぬ人は何人かいるだろうけど、
「食べれずに死ぬ」
という人はほとんどいないだろう。これは多分社会の仕組みが上手く機能し、そういう人を助けているからだと思う。いくら格差が広がっても、子供ですら携帯電話を持っている国が本当の「貧乏」を体験できるわけがなく、まして本当の貧乏を説明しようにも理解できるはずがない。戦後直後はどうだったは知らないけど、少なくとも今ではそう思う。だからこそ国に借金がある事を全く実感できないよね。

 祖母の家に行くのがちょっとした車での旅行だった、という事は前に書いた。その道中の都心部のある地域で信号待ちをしていると、どこからともなボロボロの衣服をまとった小さな子供達がワラワラと車の周りに集まり、勝手にガラス掃除をしたり、ピーナッツみたいなお菓子を売ってきたり、手のひらを上にして差し出したりする光景が良くあった。当時の僕と同じぐらいの年齢や、もっと小さな子供もいたんだけど、僕はそれが怖くて怖くて仕方がなかった。あの子達は何?と親にきいてもハッキリとは答えてくれず、僕は得体の知れない嫌な気持ちを感じた。

 不景気や格差や貧乏の話をきくとその光景を思い出すことが多い。だから、大きな企業が倒産したり、ホームレスやニートが増えたり、国が借金だらけになったとしても、
「まだまだ下があるんだよね」
と思うことがある。景気の底なんてCMでも良く聞くけど、社会的な・文化的な基盤だってその経済に乗っかっているのだから、崩れるときは皆一緒だ。
 ストリートチルドレンがいるかどうかでその国のその社会の健全度が計れるのかも知れない。そんな環境がこの日本でいつか生まれるとは到底想像もできないけど、それこそ甘いのだろうなあ。
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