2007/8/21 火 | 2007.08
駐車場にヨット
ガキの頃、夏になると祖父母の家に車で行った。僕らが住んでいたところから車で2時間ちょっとの距離、車旅は子供にとっての楽しみの一つでもあった。窓を全開にして受ける風、見慣れない風景の新鮮さ、都会を離れるにつれ増える緑。夏の始まりはいつもこんな感じだった。
途中で必ず止まる踏み切りがあった。今思えばなぜに毎度引っかかっていたのかは分からないけど、不思議とその記憶は鮮明で、僕はいつもその踏み切りを楽しみにしていた。
踏み切りのそばには倉庫を改装した異常に広い駐車場があった。その駐車場には子供があこがれるスーパーカーがたくさん停まっていて、僕はそれを見るのが楽しみだった。今でも覚えているのはクラシック・カーとポルシェ、そして右の一番奥にはヨットが止まっていた。
「駐車場にヨット」という構図は子供だった僕の思考範囲を超えていた様で、それを見る度に僕はなんだか心地のいい混乱に陥った。なぜに駐車場にヨットなのか・・・。ヨットハーバーや海に近いと所ならまだしも、駐車場にヨット・・・。駐車場にヨット・・・。駐車場にヨット・・・。すごく気になる。
今思えばどうでもいいことで、ただ持ち主がそこに停めていただけのことで、なんにも不思議なことはないけど、子供心には駐車場のヨットがあることは常識を超えていた。僕はその常識はずれな感覚が楽しくて、ヨットを見ることが好きだったんだよね。あの感覚をもう一度味わいたいけど、大人になってしまった後にはもう遅い・・・。戦車ぐらいだったらちょっと楽しいかな。
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