2008/7/21 月 | 2008.07
花火
仕事をしだしてから「花火大会」というものに行ったことがない。暑い上、人口密度が高い所ともなればよっぽどの事がない限り行きたいと思わないので、行ける環境にあってもおそらくパスするだろう。若い頃に花火師が上げる様な、球体の形をした花火を無断であげて逃げ出して以来、花火に縁のない人生である。あの時の花火のあまりの高度と音の大きさに「そりゃ許可が必要になるわけだ」と思ったものである。
岩井俊二のドラマで「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 」というのがあって、僕は大好きである。打ち上げ花火は横から見ても丸なのか、それとも平べったいのか、それを確かめようとする少年たちの話で、その中の一人がある女の子に駆け落ちをしようと誘われていて・・・、という話である。このドラマはフィルム効果といって、映像をフィルムっぽく見せるように色を調整している。TVドラマなのにその映像はなんだか淡くて、ノスタルジックなのである。
このドラマの印象があまりにも強くて、僕の中では花火=ノスタルジックであって、だからイマイチ魅力を感じない原因にもなっているのではないかと思う。
夏休み・・・
花火大会の夜
誰もいないプールに2人
濡れた髪の女の子が前にいる
静寂が流れ
その時遠くで花火があがる
水面に映る花火
彼女の濡れた笑顔にも反射する
「二学期にまた逢えるといいね」
遠ざかる彼女
実は彼女は親の離婚のために引越しが決まっている。再会はないのだ。
なんとも風情のある映像である。
毎年夏になるとこの映画を思い出してしまう。僕にはこのような淡い経験がないけど、それはそれで助かったかな、なんて見ながら毎回思う。夏が来るたびにこんな事を思い出していては辛すぎるだろう。
というわけで、花火大会のメインは実はその裏にある色恋沙汰であって、そう思うとなんだかさめてしまう。この映画以上にキレイな恋沙汰なんてないだろうし。ある視点から見ればこの映画も「小さな恋のメロディ」に通ずるものがあるなあ。
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