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ザ・ワールド・イズ・マイン

 昨日紹介した作品の中に一つだけ漫画があって、それが「ザ・ワールド・イズ・マイン」である。連載時の単行本は全14巻だけど、おそらく今買えるのは復刻版である「真説〜」だけで、これが全5巻になっている。1344円と値は張るが、その価格に見合う作品である。漫画の歴史の中だけではなく、物語としては日本の文学の中でも重要な作品だと思う。
 ストーリーを要約するのはすごく難しいけど、
「トシとモンという2人組みが何の理由もなく北海道を目指しながら、これまた何の理由もなく道中で人を殺していく。2人のテロリストはなぜか民衆を魅了し、権力に立ち向かう無差別殺戮者でありながらポップアイコンになっていく。そして2人が起こした騒動は総理大臣までもを巻き込んでいく。
 時を同じくして、正体不明の怪獣「ヒグマドン」が北海道で出現、これまた大殺戮を重ねながら南下していく。」
という、多分これを読んだだけでは全く把握できない感じ。このモンという男が体中に毛が生えた原始人みたいな男で、とにかく欲望がまま行動する。女と見れば飛び掛りレイプし捨て、気に入らないヤツがいたらその場で殴り殺すという存在。相方のトシは爆弾を作る趣味を持ちながら、モンと出会うことで犯罪に手を染めていき、内なる凶暴さを発揮させていく。
 今思えばこの漫画は時代をかなり先取りしていて、同時多発テロ、ネットでの犯罪予告が普通に出てくる。とはいえ扱っているテーマは限りなく普遍的なもので、生き物を殺すとはどういう事なのか、何故人は人を殺してはいけないのか、人と獣の差はどこにあるのか、と言うことを真っ正面から描いている。

 僕は高い金を出してこの作品を全部買ったんだけど、1度しか読んでいない。読むのに体力を必要とする事もあるけど、「最後まで読んだのに自分の中での答えがまだ出ていない」というのが一番の原因である。殺人は罪!と叫ぶことは簡単だけど、それだけでは割り切れない何かがあるんだよね。読みたい人は貸すよ。

posted by @6 : 20:45

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